初めての有名人乗客?ゴールデンウィーク中の思いがけない出会い!

今年は初めてのGW営業となった。ゴールデンウィークの夜、東京はいつもと違う静けさに包まれていた。街わ賑わってるが、私のタクシーの中はただ静かで、売り上げは思うように動かない。そんな営業も夜の終盤になった時、第一京浜の街灯の下で、背の高い男性が手を挙げていた。

「渋谷ステーションまでお願いします」と、彼は乗り込みながら言った。声には柔らかな外国の響きがあった。会話を交わすうち、彼が韓国人であることがわかる。名は言わなかったが、その顔はどこかで見たことがあるような気がしてならない。

私たちは言葉の壁をグーグル翻訳で越え、彼が実は韓国のドラマに出演する有名俳優であることを知った。彼が話す「BTSがどうのこうの」という言葉に、私はただ頷いた。有名人とは思えないほどに彼は謙虚で、温かい。

彼が気になるのは、「東京でおすすめのビールと焼き鳥の美味しい場所はどこか」ということだった。私は答えに窮し、ただ「東京には数多くの選択肢がありますよ」と返した。もっともらしい答えだが、私自身も知りたいものだ。

やがて、渋谷のスクランブル交差点に到着すると、彼は「頑張ってください」と優しく言い残し、チップを手渡してくれた。その際、彼は翻訳アプリで私に自分の名前を見せ、微笑みを交わした。彼の姿が人混みに消えるのを見送りながら、私は深く息を吐いた。彼の背丈が190cm近いことを後で知るとは、この時は想像もしていなかった。

その日の売り上げは記録的に低かったが、心はどこかで満たされていた。タクシーを走らせるたび、この街が無数の物語を紡いでいることを感じる。だからこそ、私はこの仕事を辞められないのだ。そして、次の乗客がもたらす新たな物語に、心躍らせている。